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船坂住民数珠つなぎ 明木哲生さん[古材問屋]

今回は船坂川沿いに事務所がある「株式会社古材問屋」の代表、明木哲生さんのご登場。古民家への想いや古民家族の事など、話が盛沢山なので早速スタートです(;^_^。

―古材問屋が船坂にきて何年になりますか?
明)もう12年目になります。私自身は夙川に住んでいる45歳、古材問屋以外に設計の仕事もしています。山口県の岩国育ちで、建築の勉強をした後、好きな建築物を全国巡りしていて、街並みが気に入った神戸に住みはじめた時に阪神淡路大震災にあったんですね。そこで復興に役立ちたくて設計事務所に勤めました。

―震災が人生の転機になったんですね。
明)数年後、フリーで活動していた時に名塩で古材を扱う仕事に呼ばれ、その時のスタッフで古材問屋を立ち上げて、そこに私も一番下っぱとして参加しました(笑)。船坂に移ったのは全くの偶然で、すぐそばに古民家がたくさんあるなんて知りませんでした。

―船坂の「古民家」と「古材問屋」、それに新聞連載中の「古民家族」との関係がよく理解出来ていません…(汗)。
明)古材問屋に武庫川女子大学の一人の学生が、卒論で古材研究をしに来たのがそもそもの始まりでした。同じ頃、5隣保古民家の所有者さんから古材問屋に古民家の取扱い相談があったので、古建築の研究材料としての古民家利用を思いつき、学生に「どうする?」って聞いてみたら「やってみたい」との答え。私は古建築を学んでなかったので、お客様だった河原工房に相談したところ、「お手伝いしますよ」とのお答えだったので「じゃあ、やってみようか」と(笑)。なので、武庫川女子大の学生中心ですが、学校自体は関わっておらず、授業や単位も取れません。「やってみたい」と集まった活動団体が主催者で、古材問屋や河原工房がサポートをしています。
その活動団体の名称が「古民家族」なんです。
2007年3月18日に活動を開始し、10年が過ぎました。今では一般の参加者も増えて立派な活動となっています。

―2隣保の古民家との関係は?
明)活動中、古民家の屋根にいた時、虫の知らせか2隣保古民家が解体されるんじゃないかとふと思ったんです。それで調べてみたら解体手続きが実際に進んでいました(苦笑)。急遽、私がその古民家をお借りするので、壊さないでほしいとお願いしました。

―「古民家」へのこだわりの理由は?
明)震災体験後、木造で安全な良い家は何かをずっと考えていて、その答えが実は「古民家」だったんです。今の法律の建物は強度をどんどん増していく西洋の考え方、「在来工法」が主流となっていますが、古民家は千年以上前から、地震が多い日本で先達たちが生み出した技術を集約した「伝統工法」で造られていて、建物が揺れることで地震力を逃がし、皆さん信じられないとおっしゃるのですが、理論上では倒壊しないと言われているんですよ。それに、すべて天然材で出来ていて、材料は使い回しが可能で、体や環境にもやさしい、日本の風土にあった優れた建物なのですが、現代では法律の構造防火の問題で新築することは、ほぼできません。今ある古民家を大切にするしかないんです。なので、ただ古いから残したいんじゃなくて、これからの住宅のお手本となってほしいから、古民家を残したいと思っているんですよ。

(インタビュアー:中西 学)


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