今回は『珈琲ベルグ』の女性マスター、２隣保の森尾一恵さんから話をお聞きしました。今年は船坂の『珈琲ベルグ』オープン１０周年で、実は船坂新聞も今号が１２０号なので１０周年を迎えました。今後とも同い年の珈琲ベルグと船坂新聞をよろしくお願いします<(_ _)>。
－ご主人の先代マスター（森尾幸弘さん）が亡くなられて何年になりますか？
森）丸４年になります。主人とは同じ職場だった神戸製鋼で知り合いました。主人はとんでもなく行動的な人で、技術者なのに会社の各種行事を取り仕切ったり、自分でスキーやテニスのクラブを運営したりして、とにかく周囲に仲間がいなかったことがない人でした。新婚時代も２人だけの晩御飯なんてほとんどなく、いつも何人かが家に来て一緒に食べてましたね（苦笑）。
－それは奥さんが大変ですね（汗）。
森）私は大阪と奈良の境の町で育ちましたが、私の家もよく人を招いたりしていたので、そんなに抵抗はなかったです（笑）。主人は鹿児島の甑島出身で、将来の夢として軽井沢のような自然豊かな所でペンションをしたかったんです。ただ、私は実家のこともあるし、遠く離れた場所で、しかも生活に不便すぎる場所に移るのは気が進まなかったんですね。そんな時、主人が身体を壊してペンション経営が体力的にキツくなりました。それで主人は珈琲も大好きだったので、仕事を辞めて喫茶店をすることにしたんです。
－奥さんは転職に不安じゃなかったんですか？
森）周囲はかなり心配してましたが、私自身は若かったせいか、そんなに心配しませんでした。「好きなようにしていいよ」って感じだったかも（笑）。主人のテニスクラブの名前「ベルグ」から、店の名前も「珈琲ベルグ」として、まず苦楽園にオープンしました。その後、甲子園口と西宮北口にも店を持ちましたが、その後船坂の景色を主人がすごく気に入って、私に黙って船坂店の話を進めていたんです。ある時、私がお客さんから「船坂にも店をオープンするんだってね」と聞いて、私は「え？ 何それ？」…（苦笑）。結局、私が「いいよ」と言ったんですが、主人は「賛成してくれると思わなかった」とものすごくホッとしていました。そこから主人は船坂の店に本当に心血をそそいで大事にしてきましたね。
－船坂の居心地はどうですか？
森）お店も今は船坂だけですが、日祝のやまなみバスの最終時間遅くしてほしいかなぁ。あと、船坂の景色は本当に素晴らしいです。店から見える船坂の景色を最優先で開放的に設計したこともあって、ずっと店にいてもストレスが全然たまらず休む必要もないんですが、最近、主人と私の誕生日の１４日が平日の時だけ休みにしました。主人の想いはずっとこの店にあるので、私も船坂の景色の中でこれからの時を過ごしていきます。３匹の猫たちといっしょに（笑）。
（インタビュアー：中西 学）