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船坂にまつわる民話が絵本になりました

 過去に新聞は与志朗さんの「船坂民話再編」を連載していましたが、そのなかの『白滝姫の涙水』が神戸市立神港橘高等学校で発刊された絵本『丹生山田のお姫さま』で引用・参照されました。今回はそれを記念して『白滝姫の涙水』を一部抜粋・加工修正して再掲載。10年以上も前の記事が今現在の活動に役立ってちょっと嬉しいですo(^-^)o。

『白滝姫の涙水』 ※一部抜粋・加工修正
 有馬に向かい、船坂の集落を離れて1㎞程進むと蓬莱峡によく似た景観の場所があります。村人は白水峡と呼び、白水川と呼ばれる川が流れ、船坂川に合流しています。
 奈良時代、摂津国丹生山田の住人、山田左衛門尉真勝という若者が都に出仕し天皇に仕えておりました。ある時、右大臣の次女白滝姫を見染めました。都随一の美人と評判でした。心を奪われた真勝は恋文を送り続けましたが、姫の心をとらえることはできませんでした。天皇は真勝の心を哀れに思われて、自ら仲立ちをされ、右大臣を説いて、身分をこえ、結婚をすることになりました。
 真勝は喜んで山田へ連れ帰ることになりました。姫は都を後に、真勝に手を引かれ支えられ、時には、真勝に背負われて、船坂を越え、やっとここまで来た姫でしたが疲れ果て、ついにくたくたとその場に崩れおちてしまいました。「たとえ、勅命とはいえ、父や母に別れてこんな山奥まで来た我が身が悲しい。又あなたの心のやさしさを知って、よけいに心が苦しいのです」とその場に泣き伏してさめざめと涙を流すのでした。すると不思議にも土に落ちた姫の涙が泉となり、川となって流れ出しました。村人はその川を白滝姫の名をとって白水川と呼びました。その後、ここを旅する人や馬はこの川の流れでのどを潤し喜ばれたということです。

(編集長 中西 学)


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